第一章、 中国高校における日本語教育
第一節、高校日本語教育の現状
グローバル化により、外国語は異文化コミュニケーションのために重要な手段であり、外国語教育も国民資質教育にとって不可欠なものとなる。国際交流基金 2018 年度日本語教育機関調査①によると、中国の日本語学習者数は 100万人になり、教育段階別で見ると、中等教育②において 9 万人になっていることが分かった。具体的数は以下のように示している。
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中国高校日本語とは高校生は日本語を外国語として学習する科目である。外国語試験は大学入試の科目の一つであり、中国では小学校から英語を外国語として教え、「英語」が唯一の外国語試験の科目と誤解している人がいる。実際、受験生は英語をはじめ、日本語、ロシア語も選択できると 2003 年教育部から発表された『高等学校の課程方案』の中に明確している。グローバル化に従い、受験生は英語、日本語、フランス語のほか、ドイツ語、スペイン語、ロシア語を大学入試の外国語の試験科目として受験できることが 2017 年教育部により正式に提出された。近年、英語より比較的学習しやすい、日本のアニマや漫画で親しみがあり、訪日旅行のブームといった理由で④、大学入試の外国語科目日本語を選択する生徒が増加している。図 1.1 に示しているように、日本語を外国語科目としての受験生が年々増え、2019 年は 48000 人ほど達したと分かった。これからその人数も増加していくと予測できる。
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第二節、高校日本語課程標準①の概観
社会主義現代化国家の建設の需要に合わせ、普通高校教育改革を深めるために、1996 年、初めての日本語の高校教学大綱である『全日制普通高等学校日本語教学大綱(実験版)』が人民教育出版社により制定され、教育部の書類として公布された。この大綱において、「高校日本語教育が中学段階の学習に基づく教育であり、日本語学習と運用の基礎をより一層深めるため、中学校段階の教育に基づき、聞く・話す・読む・書く能力をさらに強化し、会話・作文などの能力を高める。同時に、授業を通じて生徒の言語文化視野を広げ、思考力と文化素質を向上させる。」②と提出した。しかし、この大綱に日本語教育における異文化教育に関する内容がほぼない。
国家基礎教育課程改革に実行するため、また国内外の外国語教育改革の成果を参考し、高校生の心身の成長に伴う特徴も考慮入れた上で中国教育部は2003 年に『普通高校日本語課程標準課程(実験)』を公布した。高校日本語課程の目標を「基礎的な総合言語運用能力を育成すること」と改訂した。文化を越えたコミュニケーション意識を高めるということを提出したけれども、具体的には異文化教育についての内容を扱われていなかった。この課程標準は大綱のようにこれから 10 年間の日本語教育を指導し、中国高校日本語教育に大きな役に立った。しかし、経済、科学が発展するとともに、世界は日本語人材の育成に対する新しい要求が提出され、2003 版には不完全なところが次々現れ、改訂されることが望まれている。
グローバル化と伴い、各国はそれぞれの教育政策を調整し始めた。その中で最も代表的なのは 2003 に OCED から提出された「キーコンピテンシー」(keycompetencies)の三つの広域カテゴリー①である。それぞれの国がそれに基づき、自国の課程核心素養の目標を制定した。中国では北京師範大学の林崇徳教授が率いるチームは 2013 年から多くの大学の百人近くの専門家と共同で生徒の核心素養について研究を始めた。『中国学生発展核心素養』の研究成果に基づき、新たな『普通高校日本語課程標準課程 2017 版』が中国教育部より公布された。2017 版では中国の核心的な価値観の教育方針に従い、高校における日本語教育の基本理念や日本語科目の核心素養、科目構成などが定められている。『普通高校日本語課程標凖 2020 年版』もあるが、内容はほぼ 2017 版と同じなので本論文では『普通高校日本語課程標準 2017 年版』だけ扱うことにした。
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第二章、 課程標準における異文化教育
第一節、異文化教育について
本格的な分析に入るには、まず異文化教育の意味を明らかにしなければならないと思う。
1、異文化教育の内容と目標
異文化教育とは、異文化間の交流から生まれた教育や異文化との接触で生じた諸問題の解決を目指して行われる教育の総称で、国際理解教育理念の一つでもある。異文化に対する尊重、目標語の国の社会概況、日常生活と習慣についての理解、文化の伝達など様々な内容が含まれている。社会学、心理学、比較文化、史学、言語学など横から領域の壁を超えて現象を捉えようとする学問である。
その目標は多文化や異文化適応の過程についての情報を与えることと、学習者の自文化についての理解を高め、異文化コミュニケーション能力を培うことである。ヨーロッパ評議会により制作された言語教育のためのガイドライン「外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠」(CEFR)では「異文化コミュニケーション能力」が以下のように分類している。
(1) 異文化への態度(2) 自文化と多文化に関する知識(3) 異文化を自文化と比較し理解する力(4) 発見し学習する能力(5) 文化への批判的な気づき
すなわち、好奇心と開かれた心で、他文化を疑い、自文化を信じる態度である。自国と他国についてのことを知っていることである。文化比較によって、多文化や出来を解釈し、説明し、自文化のものと関連づけられること。ある文化や文化的慣習について新たな知識を獲得する能力、リアルタイムのコミュニケーションやインターアクションという制約の中で、知識や態度やスキルを機能させられる能力である。異文化と自文化を比較し、区別あるいは関連などを分析することによって知識や態度やスキルを機能させられる能力である。
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第二節、課程標準から見る異文化教育
グローバル化が進むにつれ、外国語教育に異文化教育がだんだん導入され、日本語教育がその傾向があり、『課程標準(2017 版)』において、高校日本語教育は異文化教育との融合が見られるようになった。
まず、内容標準の中で、文化に対する要求をめぐる改訂について、中日両国の文化だけではなく、世界の文化を取り入れると強調していること。具体的内容は以下のように示している。
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文化の多様性・豊かさを肯定的に捉えて、中日のほか、「他国」「外国」のような世界文化を強調するのは「異なる民族の歴史や文化の多様性を学び、共生共存の道を求める」という異文化教育の理念に一致している。21 世紀になり、文化間の移動や交流が地球規模で急速に進むことに従い、自分の文化を頭にしかしないと、相手の文化をもう受け入れる余裕もなくなってしまう。
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第一節、『新版標準日本語』について................................21
第二節、Cortazzi&Jin 理論による分析..............................21
第三節、「文化の氷山モデル」による分析.........................25
第四章、高校日本語教育における異文化教育に対する対策..............................29
第一節、「見えない文化」への気づき.......................................29
第二節、「異文化理解」への重視.......................................30
第三節、文化の「動態性」に注目...............................32
終わりに........................................34
第四章、高校日本語教育における異文化教育に対する対策
第一節、「見えない文化」への気づき
異文化に対する抵抗感を無くし、多様性への尊重を日常に反映させるためには、一定の知識が必要になる。その中で、価値観、考え方、信条などのような見えない文化への気づきが求められている。なぜというと、見えない文化は見える文化よりずっと大きくて、その文化を持つ人のアイデンティティに影響を与えているからである。
ここで、北村武士による文化についての整理を紹介しよう。
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北村武士によると、文化には生活習慣・慣習などがあり、文化の所産・産物、そしてその背景からなっている。生活習慣・慣習及び所産・産物は前述で述べた「見える文化」、その背景は「見えない文化」に当たる。北村武士は文化理解のための方法を提案した。それがこれからの中国での異文化教育にとって参考となる価値があると考えられる。具体的に言えば、①と②をしっかり観察し、できれば実際にやってみて、そのことについて、分析し討論し、背後にある③について理解しようとしている。
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終わりに
『高校日本語課程標凖 2017 年版』において、中国高校日本語は文化の多様性を重視し、物質文化及び精神文化両者へ着目し、相手の文化を理解・尊重し、中国文化を世界へ伝播することなどを強調した。これらのことから異文化教育との融合が見られた。「異文化」も言語能力、文化意識、思考力、学習能力という日本語課程の核心素養と互いに繋がって、生徒の成長を促進している。すなわち、生徒は日本語を学びながら自国について誇りを持つとともに、文化の多様性を尊重して、寛容に受け入れる精神を養い、異文化コミュニケーションができる人材になることが望まれる。高校日本語における異文化教育は重要な役割を果たしていて、日本語課程の核心素養を高める一方、異文化コミュニケーションのできる人材の育成に促進する。したがって、高校日本語教育は異文化コミュニケーションそのものを扱う教育だと考えられる。
二つの理論を踏まえて、中国高校でよく使われているテキストの『新版標準日本語』における異文化教育を分析した結果、世界文化を取り入れるものの、未だに中心となっているのは欧米の文化で、本当の意味での「異文化」として捉えられなかった。一方、異文化を尊重して相手を理解しようとする態度を示すけれども、見えない文化に関する内容が少ないので異文化を深く理解するには難しくなるかもしれない。そして、中国文化が現れているといっても、相手にそれを紹介することがあまり強調していなかったので自国文化を世界へ広く伝えられない。グローバル化している 21 世紀、異文化コミュニケーションができる人材を育成するためには、テキストの見直しが必要になり、異文化教育を行わなければならない。ところが、中国教育現場でテキストの見直しを重視することが見られた。
異文化と接触するとき、誰でも「壁」というものを感じることがある。しかしその「壁」にずっと囚われてしまうと、不幸を招いてしまう可能性がある。高校日本語教育で異文化教育を重視すれば、その「壁」を乗り越え、生徒の全面的成長に促進する。
参考文献(略)